動画「【西日本豪雨】水が引いたら大量に現れたもの」に登場した動物について(平成30年7月豪雨)
☝この動画で登場した動物について「何の動物?」「日本に野生のカピバラ?」など多くのコメントが寄せられたので、ここで詳しく書いておこうと思います!
さっそくですが、この動物は「ヌートリア」といいます。
ヌートリア(Nutria)
<分類群>
哺乳綱 齧歯目(ネズミ目) ヌートリア科 (Echimyidae, Rodentia, Mammalia)
<自然分布>
南米の中~南部
<生息環境>
流れの緩やかな河川,湖,沼沢地.
温度選好性:寒さに弱く,冬季には流産の確率が高くなる.また,北欧・北米の寒冷地では定着後に自然に絶滅した地域もある.国内では,鳥取県・兵庫県北部山間部でも分布拡大しつつあることから,少なくとも西日本のほとんどの地域では定着可能と考えられる.
<繁殖生態>
繁殖期:通年繁殖可能.多回発情種(polystrus)で,年間2~3回出産.
生後3~10ヶ月で性成熟.妊娠期間127~138日.産仔数:2~9頭,平均5.87.性比は雄に偏る.若齢の雌では仔の性比は特に雄に偏り,高齢の雌ではほぼ1:1.兵庫県の個体群でも生後3~6ヶ月で繁殖.野外での寿命は2年程度.
<生態的特性>
夜行性.ただし,可塑性が高く,侵入地で昼間に活動する場合もある.土手や堤防等に複数の巣穴を掘る.水面上に水生植物を集めて「プラットホーム」という浮巣を作って暮らすこともある.台風などによる水害によって,減少する場合がある.
食性:草食でホテイアオイ,ヨシ,ヒシ,マコモ等の水生植物を中心に,陸上のものも含めて幅広い植物を食べる.イネ及び水辺周辺の農作物.茎と地下茎を好む.貝・魚類を食べることもある.
<侵入経路>
第二次大戦時中から戦後にかけて毛皮用(特に軍用)に飼育していたものの逸出・放逐.世界各地でも毛皮生産のため導入された.本種は半水生生活で体温を維持する良質の毛皮を持つ. 第二次大戦時中から戦後にかけて毛皮用(特に軍用)に飼育していたものの逸出・放逐.世界各地でも毛皮生産のため導入された.本種は半水生生活で体温を維持する良質の毛皮を持つ.他国では,水草・水辺雑草除去や狩猟獣として放逐されたこともある.
<侵入年代>
最も早期の導入は明治末期.1939年に150頭輸入され,関東~西日本で軍民で多数飼育された.野外への逸出・放逐が大規模に生じたのは,終戦直後と1950年代の毛皮ブームの後と考えられている.
<国内移入分布>
岐阜,静岡,愛知,三重,京都,大阪,兵庫,岡山,鳥取,広島,島根,山口,香川の各府県に定着.
他の多数の県でも確認事例がある(一部はマスクラットやミンクの誤認の可能性もある).
<影響>
水生植物に対する食害.巣穴による堤防・水田の畦・ため池の破壊.農業被害
影響を受ける在来生物:水生植物.農作物(イネを中心に,様々な品目に被害あり).
<法的扱い>
特定外来生物(外来生物法).狩猟鳥獣(鳥獣保護法).移入規制種(佐賀県 環境の保全と創造に関する条例)
ヌートリアに罪はないんですけどね~。。
ちなみに後半動画にもヌートリアが登場します。